「日本文化に魅了されている」 なぜ対日印象が改善したのか
中国人の対日印象が急速に改善している。言論NPO・中国国際出版集団の共催による「日中共同世論調査」の結果を見ても、日本に対して「良い印象を持っている」「どちらかといえば良い印象を持っている」の合計は、この5年間で5.2%から42.2%にまで増えている。一方、日本人の対中印象は、ほとんど変わっていない。この違いはどこから来るのだろうか。(拓殖大学名誉教授・藤村幸義)

 日本日中関係学会が毎年、日中学生懸賞論文を募集しているが、今年の受賞論文集を読んでみると、中国国内でこの数年の間に、実に大きな変化が起きていることがよく分かる。

 まず驚いたのは、今年度の受賞論文には、老人介護、文物保護、国際緊急援助など、日本の制度や仕組みの良さを高く評価したものが目立ったことだ。中には「未曾有と言えるほど日本文化が広く伝播、浸透しており、若者層のみならず、大勢の人々が日本文化に魅了されている」といった記述もある。

 この論文の筆者は、日本ブームと言ってもよい状況を生み出している第1の要因として、中国の都市人口の急激な増加により人々の「文化への需要」が急増し、文化に対して高い関心を示すようになったことを挙げている。中国国家統計局の数字によると、2018年に中国の都市人口の割合は約60%まで上昇している。これが人々の生活態度を大きく変えている。

 しかも、最近は「わび・さび」などといったやや消極的な色彩を帯びた日本文化への関心が高まっているという。その例として、青春の無力感とむなしさへの共感を訴える村上春樹さんの作品は中国でも大人気で、人生の虚無に向き合う消極的な姿勢が描かれている太宰治の『人間失格』も中国の若者に多く読まれているという。筆者は、激しい競争社会の中でプレッシャーを感じている中国の若年層が、繊細で人間の内面の弱みを見つめる日本文化に共感したのではないかと分析している。

 このほか、衣服、生活雑貨、食品など幅広い日本企業の中国進出によって、その企業文化や商品に含まれた日本文化にも、中国の人々は大きな影響を受けている。

 しかも従来と異なるのは、「微博(ウェイボー)」「微信(ウィーチャット)」「知乎」などのSNSが、日本ブームを加速させる上で大きな役割を発揮していることだ。これらは「多様な日本」、「真実の日本」を大量に、しかも素早く伝えている。
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